故ブラザー阿部のみことばのおすそわけ(19)

10月4日。アシジの聖フランシスコ修道者の記念日。ルカ福音書10章

「マルタ、マルタ、あなたは多くのことを思い悩み、心を乱している。しかし、必要なことはただひとつだけである。マリアは良い方を選んだ。それを取り上げてはならない」

 

今日はみなさんがよくご存じの「マルタとマリア」の話です。この話も皆さんの教会での分かち合いの話題によく上るのではないかと思います。「わたしはマルタかぁ」「わたしはマリアかも……」と。わたしは、この聖書の言葉を少し別な角度で考えてみました。イエスが話された「必要なことはただ一つだけである」との言葉です。必要なことはただ一つだけでしょうか。必要なことは、人それぞれたくさんあると思います。みんな、それぞれに大切な勤め、働きがあるのです。

(「マルタとマリアの家のキリスト」フェルメール)

 

そして、それぞれが「ただ一つの必要なこと」なのかもしれません。つまり、必要なことは、ひとそれぞれにあるということです。イエスの言葉はこの時のマルタに向けた言葉です。一生懸命に奉仕するマルタに大切なことを教えるための言葉でした。神さまにとって、わたしたちそれぞれの働きはどれも大切です。そのなかで、必要なこと、それは、人と比べることではなく、自分たちに与えられた働きを神さまのために大切に用いることなのではないでしょうか。周りの人に愛を注ぎながらも神さまから離れず、み旨を感じて生きていくことができますように。